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・ VOL-Netについて〜活動の記録〜
■実施日 2006年2月18日(土)午後2時〜4時半
■場所 東京ウィメンズプラザ 1階 視聴覚室
■テーマ 「乳がん薬物療法の基礎知識」
■講師 大阪市立総合医療センター 臨床腫瘍科
徳永 伸也 先生
■参加者数 66人
 2月18日(土)、渋谷の東京ウィメンズプラザにて、大阪市立総合医療センター臨床腫瘍科の徳永伸也先生を講師にお迎えして、「乳がん薬物療法の基礎知識」の勉強会を行いました。
 これまで実施した勉強会では「化学療法」「ホルモン療法」とテーマ別に行ってきたこともあり、今回は初めて「薬物療法全般」について網羅した内容となりました。

 まず最初に、薬物療法の目的や考え方についての説明がありました。術後薬物療法のポイントは、手術だけの場合と薬物療法を加えた場合で再発リスクがどのくらい違うのかという「ベースラインリスク」により薬物治療の効果が異なってくるということ、薬物療法を行った場合どのくらいリスクが低下するかの「ベネフィット」、薬物療法を行った場合の副作用や不都合なこととなる「リスク」のバランスが大切だということです。
 各論に移ってからは、これまでの臨床試験のデータを提示しながらの解説となりました。「術後薬物療法」はSt. Gallenでのリスク分類とホルモン感受性に応じて療法が決定されること、現在ではリンパ節転移陽性症例にはアドリアマイシン系+タキサン系の化学療法が推奨されています。「術前薬物療法」は術後薬物療法と比較して、無再発生存期間および生存期間に有意差はないそうです。まだ国内外での至適投与法は確定していないので、検討が続けられています。「術前術後療法としてのハーセプチン」については、これまでの臨床試験のデータでは、術後、術前両方に抗がん剤単独と比較して有用性が示されています。しかし国内外でまだ試験段階であるので、早期に保険適応となることが望まれます。
 今回の勉強会では、参加者からのリクエストにより「再発後の薬物療法」「抗がん剤の副作用軽減」についてのトピックも取り上げられました。再発後の治療は延命、症状緩和、生活の質の改善が目的となりますが、より副作用が少なく、効果の高い薬剤から段階的に投与することがポイントとなります。骨転移に対して使われるアレディアは、疼痛コントロールと合わせて、合併症軽減に十分な効果があります。抗がん剤の副作用の軽減については、「吐き気や白血球減少に対しては予防と対策が重要」「十分な副作用対策があれば抗がん剤治療は怖くない」という心強いコメントをいただきました。

 90分にわたる講義のあと、休憩を挟んで事前に参加者から寄せられた質問や会場からの質問による質疑応答を行いました。幅広い分野にわたるディスカッションとなりました。
 盛りだくさんな内容でしたが、最新の治療情報のポイントをつかむことができ、これまでの知識を整理する実り多い勉強会となりました。

 懇親会は、講師の徳永先生、さらに先生のご友人のドクターも交えて、賑やかなものとなりました。狭い会場で申し訳ありませんでしたが、至近距離での会話が盛り上がり、名残惜しい散会となりました。
  

= 講師ご紹介 =
徳永 伸也  先生
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平成8年3月熊本大学卒業、同年5月熊本大学第一外科に入局。その後関連病院へ
平成12年4月より熊本大学第一外科内分泌グループに所属、平成13年4月より国立がんセンター中央病院乳腺・腫瘍内科で研修、平成14年6月より国立がんセンター中央病院乳腺・腫瘍内科がん専門修練医、平成16年6月より大阪市立総合医療センター臨床腫瘍科に勤務
日本乳癌学会認定医
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〜徳永先生からのメッセージ〜
乳癌の薬物療法、特に術前術後の薬物療法は再発させないこと、つまり治癒させることが最大の目的です。つらい薬物療法も、医療者と患者さんが治療の目標点を共有することができれば、また違ってくるはずです。今回は特に術前術後薬物療法に重点をおいて勉強していきましょう。

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