■実施日 |
2007年3月3日(土)午後2時〜4時半 |
■場所 |
東京ウィメンズプラザ 1階 視聴覚室 |
■テーマ |
「乳がん抗ホルモン療法 〜自分に合うレシピを探そう!〜」 |
■講師 |
市立岸和田市民病院 乳腺科部長 吉村 吾郎 先生 |
■参加者数 |
86人 |
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3月3日、市立岸和田市民病院乳腺科部長の吉村吾郎先生をお迎えして勉強会を開催しました。
吉村先生は、2003年にVOL-Netが大阪で「乳がんのホルモン療法」をテーマに勉強会を行った際にも講演をいただき、VOL-Netでは2回目の講演になります。
これまでも「ホルモン療法」をテーマとした勉強会は何回か開催していますが、いずれも関心が高く、今回も80人以上のご参加をいただきました。
講演はまず「ホルモン療法とはどういうものか」ということから始まり、次いで閉経前、閉経後の具体的な薬剤の使い方とその効果について臨床試験の結果を交えて説明されました。
乳がんのホルモン療法の薬としてもっとも古くからから使われ、今でも第一選択薬の地位がゆるがないタモキシフェン(ノルバデックス)は数多くの確立した臨床試験のデータが蓄積されており、現在では5年間の服用は確実に再発率を下げる効果があることが示されています。
LH-RHアゴニスト(ゾラデックス、リュープリン)の最適な投与期間はまだ確定していませんが、2-5年投与の有効性は確実です。また、LH-RHアゴニストとアロマターゼ阻害剤の併用は現時点でデータは出ていないそうです。
一方閉経後に使われる薬剤では、アロマターゼ阻害剤の新薬も次々登場しています。
これらの薬は長期投与される傾向にあり、長期投与した際の副作用はまだ不明ですが、タモキシフェン同様の効果が確かめられています。
ホルモン療法は長期間に渡り、副作用に悩まされる患者さんが多いですが、もっとも多く見られる「更年期症状」については確立された副作用改善の治療方法はないのが現状です。副作用対策についての話をされながら患者さんの立場に立とうとする先生の姿が印象的でした。
最後に転移性乳がんのホルモン療法についても触れられましたが、病気の状態によって治療法が違ってくるので総論的な話となりました。ホルモンレセプター陽性の場合にはまずホルモン療法から開始することが多いようです。
講演の後は休憩を挟んで質疑応答になりましたが、予定時間を超過して活発なやりとりがなされました。
乳がんの治療法にはホルモン療法だけでも多くの種類があります。また、患者自身がホルモン療法に求めるもの、得られるものと副作用を比べてみたときにどちらを得たいのか、ということが大切です、という先生の言葉が印象に残りました。
治療方法にいろいろな選択肢があるからこそ情報が求められるし、それらの中で自分が主体となって決めていかなくてはいけないことの難しさも改めて感じた勉強会となりました。
勉強会の後に場所を移して行われた懇親会は、22人参加で、先生を囲んで話が弾んだひとときとなりました。
<参加者の方々のアンケートから>
★常々主治医から説明を受けているが、その説明の補足、裏づけを得られて有益だった。(抗がん剤で閉経しているが、ゾラデックスを打つことなど)大変分かりやすい講義だった。ありがとうございました。(患者本人、手術後1年)
★全ての治療は「データ」に基づいて行われていると理解しました。種々の副作用とも上手に付き合っていくことが大切だと知りました。対処療法の限度についてもう少し詳しく知りたかったです。(鎮痛剤の限度など)(患者本人・術後1年)
★最新のホルモン療法をエビデンスを基に詳細に説明していただき、とても参考になりました。(患者家族・パートナー)
<講師の吉村吾郎先生から>
勉強会当日は3月3日のひな祭り、きっと出席者は少ないだろうと思っておりました。ふたを開けてみると会場一杯80人あまりの方々にご参加いただき、あらためて治療情報を渇望する患者さんの多さに驚いた次第です。勉強会のテーマはホルモン療法。新規アロマターゼ阻害剤の登場により、タモキシフェンからアロマターゼ阻害剤へのスイッチやLH−RHアゴニストとアロマターゼ阻害剤の併用などコメントすべき話題が多く、時間はあっという間に過ぎてしまいました。講演内容を自己評価すると、いろいろ話題を盛り込みすぎて全体が中途半端になったと反省しきりです。お粗末な講演でしたが、参加した方々に何か一つでも得るものがあったとすれば望外の喜びです。 |
吉村 吾郎(よしむら ごろう)先生
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昭和60年3月 和歌山県立医科大学卒業
和歌山県立医科大学附属病院にて研修後、昭和62年4月から同紀北分院外科助手、平成12年8月 講師、平成14年10月 助教授。平成18年10月から現職
医学博士、日本外科学会専門医、日本乳癌学会乳腺専門医、検診マンモグラフィ読影医師評価A
日本乳癌学会、日本外科学会、日本臨床外科学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会所属
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〜吉村先生からのメッセージ〜
皆さんこんにちは。岸和田市民病院乳腺科の吉村です。
乳がんの約6〜7割ではがん細胞の増殖に女性ホルモンがかかわっています。このような乳がんに対する薬物療法として、ホルモン療法は化学療法や抗体療法とともに大きな位置づけを有しています。ホルモン療法にはいろいろな種類があり、閉経状態、投与目的(手術後再発予防や再発治療)、その他のホルモン療法効果予測因子を考慮した上で薬剤が選択されます。今回の勉強会ではホルモン療法の作用機序から、具体的な投与方法と成績および副作用についてできるだけわかりやすくお話しさせていただきます。また、堅苦しくない雰囲気で質問できる時間も設けますので、お気軽にご参加下さい。 |
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