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・ VOL-Netについて〜活動の記録〜
■実施日 2008年5月4日(日)午後2時〜4時半
■場所 東京ウィメンズプラザ 1階 視聴覚室
■テーマ いざというときのために知っておきたい
再発の診断と治療の基本
■講師 おおえ乳腺クリニック院長 大江 信哉 先生
■参加者数 91人
ゴールデンウィーク真っ只中の5月4日、京都の舞鶴より「おおえ乳腺クリニック」院長の大江信哉先生を講師にお迎えして勉強会を実施しました。
「再発」に関わるやや重いテーマでの勉強会でしたが、関心は高かったようで、当日を待たずに申し込みが定員に達する盛況となりました。

勉強会の前半は、大江先生による講演です。まずは「乳がんの再発とは何か」ということからお話が始まりました。
「乳がん術後経過観察の有用性のエビデンス」では、術後の定期的な検査項目で「実施することに意義があるもの」は、1.注意深い症状の聴取、2.乳房の観察、3.年1回のマンモグラフィー であるとガイドラインに記されています。
次に「再発乳がん症例」について、聴いている方にとっては受け止めるのが少々重く感じられる厳然たる事実が述べられたのですが、それらの現実と、それでもハーセプチンをはじめとする再発治療の方法が増えていることや、治療成績が向上していることなど、希望となる事実もあることが分かりました。
その後は、大江先生のクリニックでの術後経過観察の実情についての話題があり、実際には患者さんとの信頼関係を築くためにも「エビデンス第一」とは言い切れないこと、ほとんどの患者さんが定期的な検査を希望していること、精神的経済的な負担を過度にかけないように心がけながらフォローアップを継続していることが話されました。
自覚症状で注意する点や、腫瘍マーカー、CT、マンモグラフィー、骨シンチで異常が見つかった時にどのように対応するかなども話題となりましたが、1回の検査で判断して慌てて治療を開始するのではなく、本当に再発であるのか検査を継続することや、経過観察が大切だということが理解できました。
重くなりがちな講演の最後には、笑いも大切だと「ナチュラルキラー細胞と笑いの関係」についての話題もあり、会場の空気も緩んだように感じられました。

休憩を挟んでの後半は、大江先生だけでなく、会場に駆けつけてくださったメディカルサポーターの清水哲先生と馬場紀行先生にも加わっていただき、ディスカッションとなりました。
今回の勉強会では、事前にメディカルサポーターの先生方に「再発診断や術後の定期検診の実施」についてアンケートを実施していました。
アンケートの結果を元に進めた討議では、3人の先生方の見解はそれぞれ異なる部分もありましたが、その後会場からの質疑応答も含めて活発な意見が出され、充実した時間となりました。
実際の再発の症例など、会場の雰囲気が重く感じてしまう部分もありましたが、私たち患者も自らが「術後の経過観察、検査に何を求めるか」をはっきりさせることが肉体的、精神的なQOLの向上に大切なことなのだと認識させられた勉強会だったと思います。

勉強会後の懇親会では、大江先生、清水先生、馬場先生を囲んで、美味しい料理とお酒とともに、いつまでも話題がつきないひとときとなりました。

== 講師ご紹介 ==
大江 信哉(おおえ しんや)先生
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1987年 山形大学医学部医学科卒業、第81回医師国家試験合格
1991年 山形大学大学院医学研究科修了 医学博士
山形大学医学部第一外科助手、山形県立河北病院外科医長、京都府立医科大学内分泌・乳腺外科、舞鶴赤十字病院外科副部長、同放射線科部長・外科副部長兼任を経て、2007年より現職
所属学会等:日本外科学会、日本乳癌学会、日本臨床細胞学会、日本乳癌検診学会、癌治療学会、日本消化器外科学会等
資格等:日本外科学会 外科専門医、日本乳癌学会 乳腺認定医、専門医、日本臨床細胞学会 細胞診専門医、NPO法人マンモグラフィ検診精度管理中央委員会 読影A判定
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〜大江先生からのメッセージ〜
皆さん、今回「いざというときのために知っておきたい〜再発の診断と治療の基本」というとても難しいテーマの講師役に抜擢していただいた大江です。私が行なっている毎日の診療の中でも、術後の患者さんに対する検査の意味付けはとても悩ましいところです。いわゆる乳腺診療ガイドラインをはじめとするEBM、患者さんの要望、そして医療者としての責任感と経営者としての採算性。 ほとんどの乳腺専門医がこの4つの要素のはざまで悩みながら毎日の診療を続けていると思います。今回はいわゆる再発の診断の基本をふまえながら、おおえ乳腺クリニックでの日常診療の現状をお話しし、皆さんと一緒にこの難しいテーマについて考えていけるような内容にしたいと考えていますので宜しくお願い致します。

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