■実施日 |
2008年11月29日(土)午後零時半〜3時 |
■場所 |
目黒区緑が丘文化会館 2階 第3研修室 |
■テーマ |
乳がん薬物療法の “これまで” と “これから” |
■講師 |
帝京大学附属病院腫瘍内科(日本臨床腫瘍学会がん薬物療法 専門医) 高野 利実 先生 |
■参加者数 |
90人 |
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11月29日(土)緑が丘文化会館にて、テーマ勉強会「乳がん薬物療法の “これまで” と “これから”」を実施しました。
基本的な薬物療法の流れ・選択から、再発・転移時の治療、新薬のことまで、試験管レベルの話から、遺伝子レベルでの効く薬の判定などのトピックスも交えての内容でした。
“これから”ということで、後半は分子標的薬を中心の専門的な内容でしたが、単に薬剤の話だけではなく、他の療法と併用や切り替えなど、現場での観点からの説明もあり、盛りだくさんの2時間半でした。
<講師の高野先生から>
今回は、講演をさせていただく機会をいただき、ありがとうございました。私の都合で変な時間の設定になってしまいましたが、それにもかかわらずお越しいただいた皆様に感謝申し上げます。
「乳がん薬物療法の “これまで” と “これから”」というテーマでしたが、ご期待に沿えるお話ができたか自信はありません。
術後薬物療法の考え方、転移性乳癌治療の流れ、今後承認される可能性のあるラパチニブ(タイケルブ)やベバシズマブ(アバスチン)などについて、急ぎ足でご説明しましたが、細かい内容を知っていただくというよりも、薬物治療との向き合い方について皆様なりに考えていただきたいという想いでお話させていただきました。
未承認薬の紹介をすることには自分の中で抵抗がありましたが、これも「新薬のエビデンスを読み取るコツのご紹介」くらいに受け止めていただければ幸いです。
承認までにはまだまだ時間がかかりそうですが、それが使えないから不幸だとか、承認されたら誰もが幸せになるとかいうものではありませんので、新薬に過剰な期待をすることなく、現状での最適な意思決定をしていただければよいかと思います。
帝京大学病院では、セカンドオピニオン受診も受け付けていますので、セカンドオピニオンのご希望があればご検討ください。
<参加者の方々のアンケートから>
欧米人ではあまり効かない薬が、違う遺伝子を持つ日本人には有効なのはびっくりしました。抗がん剤はとてもつらくQOLを下げてしまうので、是非、分子標的的治療を経済的に出来る時代がくると良いと思いました。(患者本人、術後4ヶ月)
薬物療法について大変詳しく説明していただきました。ありがとうございました。術後2年半ホルモン療法を継続し、転移なく過ごしていますが、今年の夏、腰痛が収まらず、骨転移か?と改めて自分の再発に対する不安の大きさを感じました。再発時は薬物療法が中心になると思い、情報収集が大切と思い参加しました。大変参考になりました。(患者本人、術後2年7ヶ月)
本日はありがとうございました。分子標的治療薬も、中には副作用がたいへんそうなものもあるので、せっかく分子標的なのだから、副作用がなくなるよう薬が改良されればと思います。(患者本人、術後3年6ヶ月)
立派な授業だと思います。初めてこのテーマを聞く自分には難しいですが、とても勉強になりました。もっと基本の事を理解してから、先生の講義を聞かせてください。ありがとうございました。(患者友人)
新しい情報がえられてよかったです。若い患者さんが多く、性生活についてなど考えさせられました。(医療職) |
== 講師ご紹介 == |
高野 利実(たかの としみ)先生
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1998年3月 東京大学医学部卒業
1998年6月 東京大学医学部附属病院内科研修医
1999年6月 東京大学医学部附属病院放射線科研修医
2000年6月 東京共済病院呼吸器科
2002年6月 国立がんセンター中央病院内科レジデント
2005年6月 東京共済病院腫瘍内科
2008年1月 東京共済病院腫瘍内科医長
2008年2月 帝京大学医学部腫瘍内科講師
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〜高野先生からのメッセージ〜
乳癌薬物治療の選択肢は無限にありますが、「使えるから使う」というのではなく、リスク(悪いこと)とベネフィット(いいこと)とを予測して、目標に適った治療を選ぶことが重要です。どれが正しい治療なのかという一般的な答えはありませんが、一人ひとりの患者さんが納得できる治療にたどりつけるようなヒントを提示できれば、と思っております。 |
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