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乳房を温存するか全摘するかの判断は、どのような基準で行うのですか。 | |
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一般に、腫瘤の大きさが3センチ以下で、乳房内に大きく広がっていないものが、温存術の適応となります(日本乳癌学会乳房温存療法ガイドライン)。乳房の大きさによっては、3センチ以上でも温存術を行ったり、術前化学療法によりがんを小さくし、温存術を可能にする場合もあります。逆に、温存術の適応であっても、患者の希望により全摘する場合もあります。温存術の場合には、原則として術後の放射線照射が必要となりますので、重い膠原病などにより放射線照射ができない場合には、温存の適応外となります。 |
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乳房が小さくても温存できますか。 | |
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乳房の大きさに比べて腫瘤が大きい場合には、例え温存術を行っても大きく変形し、満足のいく温存にならない場合があります。術前に可能な限り切除範囲を正確に予測してもらい、主治医と良く相談しましょう。 |
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乳がんと判明しても、手術しなくて(切除しなくて)よい場合もありますか。 | |
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現在の乳がんの治療は、遠隔転移があって手術のメリットが少ない場合や炎症性乳がんなどの特殊な例を除き、手術で病変部分を切除することが基本です。手術に加え、状況に応じて放射線療法、化学療法(抗がん剤)、ホルモン療法を行います。一部の施設では、抗がん剤と放射線等で治療しようという臨床研究や、FUS(MRIガイド下集束超音波治療)の臨床試験が始まり、将来的には手術をしなくてもよくなるかもしれませんが、現在は手術をしないで治そうという試みは、まだ試験的な治療方法です。 |
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全身麻酔をしなくても、乳がん手術ができるケースがありますか。 | |
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リンパ節郭清を行う場合には、原則として全身麻酔を行います。温存術でリンパ節郭清を行わない場合には、全身麻酔でない場合もあります。 |
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乳房の全摘手術は、どのくらいの時間で終りますか。 | |
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リンパ節郭清の程度により差がありますが、手術時間は2時間前後です。したがって、手術室に入って麻酔をかけ、手術後に麻酔からある程度覚めて手術室を出るまでには、3時間程度かかるのが一般的のようです。 |
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手術の跡は、どのくらい残りますか。 | |
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切除範囲及び執刀医の手技によって様々ですので、一概には言えません。リンパ節郭清を行う場合に、乳房切除と腋窩の切開を続けて行う場合もあります。内視鏡手術(乳腺鏡視下手術)の場合には、切開の術痕はかなり少なくすることが可能です。いずれにしても、個々の状況によって異なりますから、術前に主治医によく確認してください。 |
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「リンパカクセイ」とは、どのような手術を行うことですか。 | |
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腋窩リンパ節郭清のことで、脇の下のリンパ節をまとめて取り除くことです。リンパ節は直径3〜6ミリ程度のもので脂肪組織の中に埋まっていますが、がんが転移していても少量の場合には肉眼で見分けることが困難なため、リンパ節を1個1個拾うのではなく、脂肪組織ごと切除する「郭清」という手段をとります。乳がんの手術では温存手術、全摘手術いずれの場合にも、リンパ節郭清を行うかどうか決める必要があります。がんのリンパ節転移が予想される程度によって、取り除く範囲が決まってきます。 |