医療費について

 乳がんの治療を控え、病状の理解・治療法の選択等、考えなければならないことがたくさんありますが、これからどれくらいの費用が必要になるのかということも大きな問題です。がん治療には多額のお金がかかるというイメージがありますが、具体的にはどれくらいかかるのでしょうか。

入院費用はどのくらい?
 診断・治療に関しては、診断のための検査・術前治療(必要に応じて)・入院費用、更に術後の放射線療法や化学療法・ホルモン療法にかかる費用、二期的乳房再建を行う場合はその費用(自費)が必要になります。
 国公立病院以外では、入院保証金(病院によって金額は異なります)が必要な病院もあります。入院費用は、術前の検査を外来で行うか、入院してから行うかによって差が生じますが、3割負担で平均して概ね20〜30万円くらいです。差額ベッド代はこれに加算されます。
 また、病院にかかる費用の他にも、入院準備にかかる費用やお見舞いのお礼・通院にかかる交通費・小さな子供がいる場合は入院中の保育料(例えばベビーシッター代)等が考えられます。
 まずは、どれくらいの費用がかかるのか把握し、医療費に関する相談や疑問がある場合は、病院の医療相談室などを利用しましょう。

高額療養費の制度
 医療費の軽減措置の一つに、高額療養費の制度があります。同じ病院(医科と歯科、入院と外来は別計算)で支払った医療費が、1ヶ月あたり一定の金額を超えた場合、手続きをすればその金額が戻ってくるというものです。
 手続きに必要なものは、病院または診療所の領収書・保険証・振込先の預金通帳・印鑑。これらを添えて、加入している健康保険の窓口(国民健康保険なら区市町村役場)へ申請します。保険の対象とならない医療費や差額ベッド代・入院中の食事代は対象外です。支給申請の時効は2年です。
下記の金額を超えた分が返戻されます(平成19年4月改定)
80,100円+(医療費−267,000円)×1%
※老人医療受給者証をお持ちのかた、一定以上の高所得者、住民税非課税世帯等は、計算方法が異なります。

 高額医療費については以下のサイトで詳しく見ることができます。
 社会保険庁 http://www.sia.go.jp/seido/iryo/kyufu/kyufu06.htm
 国民健康保険 http://www.kokuho.or.jp/kokuho/high-expenses/

所得税の医療費控除
 医療費控除とは、所得金額から一定の金額を差し引くもので、控除を受けた金額に応じた所得税が軽減されるものです。1月から12月の1年間の間に、本人または家族(生計を同じにする親族)が支払った医療費が10万円を超えた場合、確定申告をすることにより税金の還付が受けられます。(保険によっては払戻金がありますので、この場合は医療費から払戻金を差し引いて計算してください。)差額ベッド代や入院中の食事代・通院にかかった交通費も控除の対象になります。なお医療費控除は、最高限度額が200万円ですので、それを超える控除はできません。
医療費控除の計算方法
《その年中に支払った医療費》 − 《保険金などで補てんされる額》 = A
A − 《10万円または所得金額の5%(どちらか少ない額)》 = 医療費控除額

※最高200万円

医療保険等の保険請求も忘れずに
 各種生命保険の入院給付や手術給付(放射線含む)の手続きも忘れずに行いましょう。給付の期間はけっこう長い(簡易保険は5年)ので、あわてなくてもだいじょうぶです。退院後落ち着いてからでも間に合います。