病理とは、手術などで取り出された組織を調べ、病気の性質や進行度合などを診断することで、病理検査、病理診断とも呼ばれます。
手術によって切除した組織をパラフィンで固定し、永久組織標本を作成します。これに染色などの処理をし、顕微鏡で詳しく調べて診断します。病理診断の結果によって、がんの確定診断を行い、予後の推測と術後の治療法決定の判断材料とします。
早い病院では術後1週間くらい、遅い場合でも1ヶ月くらいで病理の結果が出ます。
乳がんの場合、主な検査項目は次のとおりです。施設によっては調べない項目もあります。
青文字をダブルクリックすると言葉の簡単な説明文が出ます。
このマークをクリックするとVOL−NetのHPの「患者が書いた やさしい乳がん用語集」の解説が別ウィンドウに出ます。
腫瘍径 | 割断面で測った腫瘍の大きさ |
がんの種類 | 腫瘍細胞の組織タイプ。浸潤がんか非浸潤がんか、浸潤がんの場合は更に乳頭腺管がんか、硬がんかなど。非浸潤がんの方が予後が良い |
切除断端 | 手術で切除した部位の断端にがん細胞がある(陽性)かどうか。陽性だとその先までがん細胞が広がっている可能性がある |
波及度 | 周辺組織のどこまで広がっているか。乳腺内か、脂肪までか、皮膚までかなど |
リンパ管侵襲 | 切除組織中にあるリンパ管内にがん細胞が入り込んでいるかどうか |
血管侵襲(静脈侵襲) | 切除組織中にある血管内にがん細胞が入り込んでいるかどうか |
ER | がん細胞にER(エストロゲンレセプター)が発現している(陽性)かどうか。一般にホルモンレセプターと言った場合はERのことを指す。陽性の方が予後が良く、ホルモン療法が効きやすい |
PgR | がん細胞にPgR(プロゲステロンレセプター)が発現している(陽性)かどうか |
組織学的悪性度 | がん細胞の核異型度、腺腔形成度、核分裂像を点数化して総合的にグレード1〜3で判断したもの。悪性度が低い方がグレード1 |
HER2/neu(c-erb B2) | がん細胞にHER-2タンパクが発現している(陽性)かどうか。陰性の方が予後が良いが、ハーセプチンが効くのは強陽性の場合 |
リンパ節転移 | 腋窩リンパ節にがん細胞が転移しているかどうか。転移している場合は、何個の転移があるか |
病理の結果を聞くときに、チェックリストを持参してメモすると、より判り易いでしょう。お願いすればコピーをもらえる場合もあります。
病理結果チェックリスト
専門書などでよく使われる用語 予後=その病気のたどる経過についての医学的見通し 生命予後=罹患してから、あるいは治療が終ってから、どのくらい生きられるかの医学的見通し 再発率=治療により、目に見えるがんが一旦無くなってから、その後再発(遠隔転移)が生じる人の割合 生存率=5年後、10年後に何人の人が生存しているか 無病生存率=5年後、10年後に何人の人が再発無しに生存しているか 奏効率=その治療が効く人の割合。効くというのは、例えば再発治療の場合には病巣の縮小効果があるかどうかで、必ずしも治る割合ではない |