主要な治療(手術など)の後、定期的に医師の診察や検査を受け、経過を見ていくことを経過観察または予後観察といいます。
乳がんは予後の長い疾病といわれ、ほかのがんの経過観察期間が術後5年であるのに対し、乳がんは10年は経過を見る必要があります。10年間何事もなければ、一応の治癒とみなされます。
経過観察の目的は、次の点です。
- 1 対側乳房の検査
- 一度乳がんにかかったことのある人は、反対側の乳房が乳がんになるリスクは通常より高くなります。対側乳房には十分注意を払う必要があります。
- 2 局所再発の有無のチェック
- 温存療法の場合は特に、残った乳腺に再発がないかどうかのチェックが不可欠です。
- 3 遠隔転移の有無のチェック
- 他の臓器に転移することを遠隔転移といいます。乳がんの場合、転移しやすい部位は、肺、骨、肝臓、脳などです。早期に発見して治療を始めても、治療期間が長くなるだけで延命効果はないとする意見もありますが、再発治療がうまくいってその後の病気の進行を食い止められる場合もあります。
- 4 乳がん以外の病気のチェック
- 例えば子宮体がん、卵巣腫瘍は、乳がんと関連性のある疾患なので、注意が必要です。リンパ浮腫や放射線の後遺症、タモキシフェン服用中の子宮がんのチェックなど、治療の副作用の対応も行います。
- 5 患者の精神的なサポート
- 普段から主治医と信頼関係を築いておくことにより、いざというときの対応がしやすくなります。
検査は、問診、視・触診、CT 、マンモグラフィ 、エコー 、骨シンチ 、血液検査(腫瘍マーカー )、PET などにより行われます。
検査内容や頻度は決まりはなく、人によって千差万別。医師によっても異なるし、患者によっても異なります。
おおまかな目安として、術後5年までは3〜6ヵ月ごと、10年までは6ヶ月〜1年ごとの受診間隔が多いです。検査は、年に1回程度のCT、マンモグラフィ、エコーなどが一般的です。
もちろん、自己検診も忘れずに実行しましょう。
Q:定期検査は、何をするべきですか?
Q:腰や肩が何となく痛いので不安です。もう骨転移したのでしょうか?