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ターミナル (たーみなる:terminal)
もともとは「最終の」「終末の」「終着駅の」という意味ですが、がんの治療の際に使う場合には、積極的な治療が有効でなくなった患者の生命が終末に近づいた時を意味します。身体的苦痛を緩和し、死への恐怖を和らげ、残された大切な人生を充実して過ごせるように援助する、ターミナルケアと呼ばれる医療が重要になります。
[←先頭へ]タモキシフェン (Tamoxifen)
抗エストロゲン剤。商品名はノルバデックス、タスオミンなど。
[←先頭へ]ティッシュ・エキスパンダー
人工乳腺を使った乳房再建を行う際、人工乳腺を埋め込む前に、その部位の皮膚や皮下組織を引き伸ばすために用いる組織拡張器です。人工乳腺は、埋め込む部位に予めティッシュ・エキスパンダーを入れて、十分なスペースを作り、組織の後戻りを防止して乳房の柔らかな感じを出してからシリコンを埋め込むのが一般的です。ティッシュ・エキスパンダーを入れた後は、定期的に生理食塩水を注入して少しずつ皮膚を伸展していきます。
[←先頭へ]ドレーン
乳がんの手術でリンパ節郭清を行った後、切除した部分に溜まるリンパ液や血液を排出するための管がわきの下に入れられます。この管をドレーンと言い、排液を貯める小さな弁当箱のようなものがくっついています。回診時にはドレーンから出る排液の量が確認され、廃液の量が少なくなるとドレーンは外されます。リンパ郭清レベルや個人差にもよりますが、手術後5〜7日くらいで外されます。
[←先頭へ]代替医療 (だいたいいりょう:Alternative Medicine)
代替医療とは、その効果が科学的に確認されていないため、西洋医学領域では治療法として選択されない医療の総称です。近代医療が病気の原因を除去することを目的とし手術や薬剤投与という方法を用いるのに対し、代替医療は保健・予防を目的とし自然治癒力の向上を図る方法を用います。例えば、漢方、鍼灸、気功などの東洋医学やインドのアーユルヴェーダなどの伝統医学、指圧・マッサージ・カイロプラクティックなどの用手療法、食事療法、ホメオパシー、アロマテラピーなどの方法です。サプリメントの摂取も代替医療に含まれます。
米国では、「代替医療」英国では西洋医学の「補完医療」とされ、近年ではこの二つをまとめて補完・代替医療(Complementary and Alternative Medicine ;CAM)と呼ばれています。
→民間療法
[←先頭へ]大胸筋 (だいきょうきん)
乳房の下にある胸の大部分の筋肉のことです。腕の運動機能や呼吸運動に関係しています。乳がんの手術の際、以前は乳房全部と大胸筋、小胸筋も取り除く胸筋合併乳房切除術が広く行われていました。しかし、大胸筋を切除しても必ずしも治療成績が向上しないことが判明し、現在は胸筋を温存する術式が一般的となっています。
[←先頭へ]脱毛 (だつもう)
抗がん剤は血液を通じて全身にいきわたり、細胞分裂が活発な細胞に作用するため、がん細胞だけでなく、体毛・口粘膜・骨髄などの正常細胞にも作用します。抗がん剤治療による脱毛は、抗がん剤が毛根の毛母細胞に作用するので、脱毛が起こります。抗がん剤を使用して2〜3週間で抜け始めますが、使用する抗がん剤の種類や 量・組み合わせなどによって、脱毛の程度は異なります。髪の脱毛は全体的であったり、部分的であったり、髪の毛以外の体毛が抜けることもあります。 治療が終わると、1〜2ヶ月で毛が生えはじめ、3〜6ヶ月で ほとんど生え揃いますが、新しく生えてきた毛は前と比べて形や性質が違うこともあります。
放射線を照射した場合は、照射を受けた部位の皮膚が炎症をおこし、毛根にまで影響がおよび、照射した部位に脱毛がおきます。放射線治療を開始して2〜3週間してから脱毛が始まります。放射線治療が終わって、皮膚の炎症がおさまると、正常な皮膚が復活して、毛根の準備が整い、治療終了後、2〜3ヶ月で毛が生え始めます。
断端陰性 (だんたんいんせい)
乳房温存手術で切取った部分の断端(切り口)にがんが残っているかどうかを調べ、残っていない場合を断端陰性といいます。手術中は術中迅速診断で調べますが、迅速病理検査は確実性には欠けるので、術後の病理検査が重要になります。断端陰性の場合には、追加の切除は必要になりません。
[←先頭へ]断端陽性 (だんたんようせい)
乳房温存手術で切取った部分の断端(切り口)にがんが残っているかどうかを調べ、がん細胞が残っている場合を断端陽性といいます。手術中は術中迅速診断で調べますが、迅速病理検査は確実性には欠けるので、術後の病理検査が重要になります。断端陽性の場合、追加切除を行なうか温存手術を乳房切除術に変更することになります。
[←先頭へ]超音波検査(エコー) (ちょうおんぱけんさ)
超音波(人間の耳には聞こえない音)を体の表面にあて、臓器から返ってくる反射の様子を画像にするものです。検査は体の検査部位にゼリーを塗り、プローブと呼ばれる器械をあてて移動させ、モニターに映る映像を観察します。音波を使う検査なので、ひんやりするだけで痛みもなく、放射線の被曝もありません。この検査では腫瘤の性状の観察や、良性・悪性の鑑別をしたり、触診では分からない数ミリのしこりやリンパ節の転移を見つけ出し、その状態を観察することができます。
[←先頭へ]追加照射 (ついかしょうしゃ:boost)
乳房温存手術後に行なう放射線療法で、接線照射のあとに追加(boost)で放射線を照射することです。断端陽性またはそれが疑われる場合に局所再発予防の目的で行われます。接線照射では乳房全体に放射線を照射しますが、追加照射ではがんのあった部分にしぼって照射します。電子線を体の外から照射する方法(外照射)が一般的ですが、小線源(粒状の小さな放射線を発する物質)を、がんの病巣に直接入れて内側から放射線をあてる方法(組織内照射)もあります。現在では追加照射を行うかどうかや、行う場合の線量は、施設により異なるようです。
[←先頭へ]低分化 (ていぶんか)
腫瘍細胞がその発生した組織や器官の正常細胞に近ければ近いほど分化した腫瘍といいます。低分化がんとは、発生した組織の細胞(乳がんの場合は正常な乳腺組織の細胞)との類似性が少ないものをいい、低分化型の方が転移しやすく悪性度が高くなります。
予後については、高分化型が低分化型より良好のことが多いといわれています。通常、がん組織では1種類の型のみがみられることはまれでそれぞれの型が混在しており、どの型がいちばん多く観察されるかでがんの悪性度が判定されます
定型乳房切除術 (ていけいにゅうぼうせつじょじゅつ)
胸筋合併乳房切除術のことで、乳房全部と大胸筋、小胸筋、及び付近のリンパ節(腋窩リンパ節と鎖骨下リンパ節)をすべて切除します。この方法を開発したハルステッドという外科医の名前を取ってハルステッド法とも呼ばれ、半世紀以上に渡って標準術式として世界中で行われていました。しかしながら、このように広範囲に切除しても必ずしも治療成績が向上しないことが判明し、現在では、乳がんが進行して胸筋にまで浸潤している場合などを除いて、殆ど行われなくなっています。
[←先頭へ]転移 (てんい)
がん細胞が、リンパの流れや血液の流れに乗って、リンパ節(リンパ節転移)や他の臓器(遠隔転移)に流れ着き、そこで増殖することを言います。
→遠隔転移、 肺・胸膜転移、 肝臓転移、 脳転移、 骨転移、 皮下転移・皮膚転移
[←先頭へ]電子線 (でんしせん)
放射線療法に使われる放射線のひとつです。電子線による治療は、リニアックという機械により行なわれます。
[←先頭へ]動注療法 (どうちゅうりょうほう)
動注化学療法は腫瘍に栄養を運んでいる動脈に、直接抗がん剤を投与する方法です。カテーテルという細い管を動脈内に挿入し、腫瘍を栄養している動脈へカテーテルを誘導して、その血管内に直接抗がん剤を注入します。抗がん剤の投与方法としては、血管造影をしながら行うone shot(ワンショット)動注療法や、リザーバーという器具を皮下に埋め込んでカテーテルを留置する、経皮的カテーテル留置動注療法があります。腫瘍に抗がん剤を高濃度に投与でき、全身に循環する抗がん剤も少なくて済み、副作用が軽くて局所の腫瘍が小さくなるのを期待できます。手術前や放射線治療前に腫瘍を小さくする目的で行われたり、放射線治療と同時に行われたり、何らかの治療が行われた後の維持療法として行われたり、転移したがんに対しても行われます。しかし、一方で、動脈損傷や、局所の感染症などの合併症をおこすこともあります。乳がんの場合、静脈内投与と比べて動脈内投与(動注療法)の方が優れているという明らかなデータはありません。
[←先頭へ]疼痛緩和 (とうつうかんわ)
末期がん患者の身体的苦痛の中で最も苦痛に思う症状は、「疼痛」が約70%と最多です。つまり、疼痛緩和(除去)を行うことは、QOLの向上に深く結びついていると言えます。
疼痛緩和の治療については、1.痛みに妨げられない睡眠時間の確保、2.安静時の痛みの消失、3.体動時や体重負荷時の痛みの消失、の3つの段階的目標に沿って進められます。具体的な治療方法としては、鎮痛薬、神経ブロック、脳神経外科的治療法、放射線療法、理学療法、心理療法などがあります。
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