[戻る]

 
 な 

ネオアジュバント療法 (ねおあじゅばんとりょうほう:neoadjuvant therapy)

 術前補助療法を参照して下さい。

術前補助療法

[←先頭へ]


のう胞 (のうほう)

 乳腺の良性の病気の一つで、乳管が袋状に膨らんで中に黄色の液体や、濃縮した乳汁などが溜まった状態のことです。一つだけのこともあれば、両側の乳房に多発することもあります。痛みがあれば、中の液体を針で吸引することで症状は改善します。超音波検査、マンモグラフィで診断できますが、のう胞の中にがんが隠れている場合もあり、針で吸引した液体を細胞診することもあります。

乳腺症超音波検査(エコー)マンモグラフィ(MMG)穿刺吸引細胞診

[←先頭へ]


内分泌療法 (ないぶんぴりょうほう)

 ホルモン療法を参照してください。

ホルモンレセプター抗エストロゲン剤ホットフラッシュ術後補助療法プロゲステロンプロゲステロン剤アロマターゼ阻害剤LH−RHアゴニスト製剤

[←先頭へ]


二期再建 (にきさいけん)

 乳房切除後、期間をおいてから乳房再建手術を行う方法です。本人が希望し、体力が許すのであれば、何歳でも、術後何年たっても可能ですが、一旦は乳房がない状態になる、手術や経費が再び必要となるなどのデメリットがあります。再建した周囲に再発があった場合は、再建した乳房を切除しなければならなくなることもありますが、二期再建ではこのような事態をある程度防ぐことができます。再建した場合の再発を見逃す危険性は少ないとされていますが、再発の心配が少なくなってから再建するのが望ましいと考える医師も少なくありません。切除手術と同時に行う方法を一期再建または同時再建といいます。再建に望ましい時期については、病状によって変わってきます。

乳房再建一期再建

[←先頭へ]


乳管 (にゅうかん)

 乳房は大きく分けて乳腺と脂肪と皮膚から成り立っています。そのうち、乳腺は乳首から奥に向かって伸びる一本の木に例えられ、乳管は枝や幹の部分にあたります。腺房と呼ばれる百以上の小さな球状からなる小葉で作られた乳汁を乳頭へ運ぶパイプラインの役目をしているのが乳管です。多くの乳がんは、この乳管の内腔(内側)の上皮細胞から発生するので、浸潤性乳管がんというかたちをとります。

乳腺乳管内視鏡乳管造影

[←先頭へ]


乳管造影 (にゅうかんぞうえい)

 乳頭から分泌物(血液の混じった乳汁など)がある場合、乳汁を運ぶ乳管の中に腫瘍ができていることがあります。この腫瘍を診断する方法として、乳頭にある小さな穴からとても細い管を入れ、少量の造影剤を注入します。その後、マンモグラフィ撮影(乳房のX線撮影)をして、乳管の形を観察して病変の場所やその性質を診断します。触診では分からないような乳管内乳頭腫や乳管内がんを発見するのに有効です。

乳管内乳頭腫乳管乳頭分泌

[←先頭へ]


乳管内視鏡 (にゅうかんないしきょう)

 しこりはないが、乳頭から分泌物(血液の混じった乳汁など)がある場合、乳汁を運ぶ乳管の中に腫瘍ができていることがあります。乳管内視鏡とは、乳頭の小さな穴からとても細いファイバースコープを入れ、乳管の中をモニターの画面に写し出し、乳頭へのがんの進展状況や乳管の中にある小さな病変を観察する方法です。乳頭に近いところしか検査できませんが、この内視鏡で細胞や組織を採取し、細胞診や組織診をすることもあります。

乳管乳頭分泌細胞診

[←先頭へ]


乳管内乳頭腫 (にゅうかんないにゅうとうしゅ:Intraductal papilloma)

 乳管にできる良性腫瘍です。乳管の細胞がいぼのように増殖する疾患で、30〜50歳台の女性に多く発生します。柔らかく小さいため、ほとんどしこりとして触れません。痛みなどの症状はなく、乳頭から血の混じった分泌物がみられます。乳がんとの鑑別が重要で、分泌物の細胞診や乳管造影検査がなされます。血の混じった分泌物が出たら、必ず専門医の診断を受けましょう。診断を確定するために、生検が必要になることがしばしばあります。

乳管造影

[←先頭へ]


乳腺 (にゅうせん)

 乳房は大きく分けて乳腺と脂肪と皮膚から成り立っています。乳汁を分泌する小さな腺房が集ってできた小葉、その小葉が集って腺葉を形成し、各腺葉には乳管が一本づつ出ていて乳頭につながっています。これらの組織を総称して乳腺と呼びます。乳腺組織の数は乳房の大きさに関係なく、15〜20個程度ですが、乳房内に均一に存在するわけではありません。外側上方に多く、内側下部には少ないのです。そのため、乳がんの発生場所は外側上方が多くなっています。また、乳腺は月経周期によるホルモンの変動の影響を受け、増殖したり、消退したりしています。

乳管乳腺症小葉

[←先頭へ]


乳腺炎 (にゅうせんえん)

 乳房が赤く腫れて強い痛みがあり、発熱を伴うことが多い病気です。授乳期に母乳が乳腺にたまったままになって起こる場合をうっ滞性乳腺炎といいます。また乳頭から細菌が入り込み炎症を起こす細菌性乳腺炎もあります。授乳の経験のない女性も、陥没乳頭である方は細菌性乳腺炎になることがあります。治療法としては、前者はマッサージや搾乳器を使い、後者は抗生物質や消炎剤を投与します。場合によっては切開することもあります。乳がんの中には、皮膚に発赤を伴う炎症性乳がんもあるので注意が必要です。

炎症性乳がん

[←先頭へ]


乳腺外科 (にゅうせんげか)

 乳がんの治療は日本ではほとんど外科で行いますが、中でも乳がんなど乳房の病気を専門に治療するのが、乳腺外科です。乳腺外科の医師の多くは、日本乳癌学会の認定医、専門医という資格を持っています。

[←先頭へ]


乳腺症 (にゅうせんしょう)

 女性ホルモンなどの影響で、乳腺組織が腫れたり、しこりやのう胞ができたりする乳腺の変化を乳腺症と言います。線維のう胞性変化とも言います。乳房の痛みを伴うこともあります。とくに、月経前にその症状が強くなる傾向があります。治療の必要は、通常はありません。いまのところ乳腺症からがんへの移行はないと考えられていますが、乳腺症のためにがんが見つけにくくなっている場合があります。定期的に超音波検査、マンモグラフィを受けるようにしてください。

しこりのう胞乳腺

[←先頭へ]


乳頭びらん (にゅうとうびらん)

 びらんとは、ただれのことです。乳頭部だけが湿疹のようにただれる場合、皮膚の炎症のことが多いですが、かさぶたを作ってもなかなか治らない、しつこい湿疹のような症状が続く場合、乳がんの一種であるパジェット病が疑われることがあります。

乳頭分泌

[←先頭へ]


乳頭陥没 (にゅうとうかんぼつ)

 乳頭が乳房内にめりこむようにくぼんだ状態で、乳頭全体が中に引っ張り込まれています。生れつき、または思春期以降に乳頭の中心部だけ陥没している場合は陥没乳頭と言われますが、乳がんとの関係を疑われるのは、もともと突出していた乳頭がへこんできた場合です。がんが皮下やクーパー靭帯(乳腺を支えている組織)に及んできた場合、乳頭が引っ張られてがんの方向を向いてしまうことがあります。これをポインティング症状といいます。

[←先頭へ]


乳頭腺管がん (にゅうとうせんかんが:Papillotubular carcinoma)

 浸潤がんの通常型の一つです。乳がん全体の約25パーセントと言われています。がん細胞が腺管を作りながら、周囲に散らばっていくタイプです。乳頭状(ポリープ状)のがん細胞の増殖と管腔形成(空洞化すること)が特徴で、がん巣の中心部に細胞壊死がみられるタイプもあります。通常型の中では最も正常細胞に近い形態を持っていて、比較的予後もいいタイプです。

管腔形成コメドがん(面ぽうがん)

[←先頭へ]


乳頭分泌 (にゅうとうぶんぴつ)

 乳頭から分泌物が出ることで、妊娠授乳期以外のものを異常乳頭分泌といいます。診断には、分泌物が出ている量、出方(1箇所から出るのか、数箇所からか)、そして分泌物の色をチェックすることが重要です。片方の乳首の1箇所から、透明、茶褐色、血液が混ざったような分泌物がある場合、すぐに専門医に相談してください。しこりがなく、分泌物がある場合の検査は、まず分泌物を取り細胞診や腫瘍マーカー(CEA)を検査することが多いようです。更に、必要に応じて乳管造影や乳管内視鏡を行います。乳頭分泌のみで発見された乳がんは、非浸潤がんであることが多く、予後は良好であることが多いと言われています。

乳管造影乳管内視鏡腫瘍マーカーCEA乳頭びらん乳頭分泌物細胞診

[←先頭へ]


乳頭分泌物細胞診 (にゅうとうぶんぴつぶつさいぼうしん)

 塗沫細胞診とも言います。乳頭などからの分泌物がある場合、その液を採取し、スライドグラスにつけて、顕微鏡でがん細胞が含まれていないかを観察します。分泌されている液を使うので検査に痛みは伴いません。

乳頭分泌細胞診

[←先頭へ]


乳房円状部分切除術 (にゅうぼうえんじょうぶぶんせつじょじゅつ)

 しこりとその周囲の正常な乳腺を部分的に丸く切除する手術法です。がん細胞はしこりだけでなく、周辺の乳腺組織に入り込んでいることが少なくないため、しこりの周囲数センチの正常な乳腺も一緒に切り取ります。この術式の長所は、切除範囲が狭いため乳房の変形が比較的少なくてすむことです。短所は、切除する範囲が狭いことにより、肉眼では見えないがん細胞が取り残される可能性が高くなることです。

乳房温存術

[←先頭へ]


乳房温存術 (にゅうぼうおんぞんじゅつ)

 乳がんの手術のうち、乳房の一部だけを切除する術式です。同時に腋窩リンパ節の郭清も行いますが、最近ではリンパ節を切除しない方法もあります。乳房温存術の最大の長所は、乳房を残せること、短所は、乳房内再発の可能性があることです。日本でも1980年代後半より積極的に取り組まれ、現在、乳房温存術は、部位にもよりますが、乳がんI期、II期の標準術式として確立されつつあります。温存手術では、乳房に肉眼では見えない少量のがん細胞が取り残されている可能性があるため、残った乳房に放射線治療を行うことが原則となります。

乳房扇状切除術乳房円状部分切除術くりぬき手術腫瘤摘出術局所再発断端陰性断端陽性

[←先頭へ]


乳房再建 (にゅうぼうさいけん)

 乳がんの手術により切除してしまった乳房のふくらみや乳頭・乳輪を形成手術によって再び作ることです。ふくらみを作る方法は、自分の体の一部を使用する筋皮弁法と、いわゆる人工乳腺を埋め込むインプラント法、これらの併用の3種類に大別されます。筋皮弁法では、広背筋または腹直筋及び脂肪を使うことが一般的です。人工乳腺の場合は、ティッシュ・エキスパンダー+シリコンインプラント、生理食塩水バッグなどが使われます。どちらの方法も、乳房切除手術と同時に行う場合(一期再建)と、切除手術から時間を置いて行う場合(二期再建)があります。
 どのような方法が良いかは患者によって違いますので、それぞれのメリット・デメリットを十分検討することが必要です。

一期再建二期再建形成外科シリコンジェル生理食塩水バッグ人工乳腺広背筋皮弁法腹直筋皮弁法ティッシュ・エキスパンダーコヒーシブシリコン皮下全摘乳腺切除術

[←先頭へ]


乳房扇状切除術 (にゅうぼうせんじょうせつじょじゅつ)

 乳房温存術のうち、しこりとその周囲の乳腺組織を、乳頭を中心にして扇状に切除する手術法です。温存術の中では最も切除する範囲が広く、4分の1切除とも言いますが、正確に4分の1というわけではありません。切除範囲が具体的にどの程度になるか、術前に主治医に確認することが大事です。比較的しこりが大きい場合でもがんを取り残す可能性が少ないという長所がありますが、切除範囲が大きいため残った乳房に変形を生じるなど、特に乳房の小さい人には整容面でのダメージが大きくなってしまう短所があります。乳房の変形が強い場合、部分的に筋肉や脂肪を充填して形を整える手術を行うこともあります。

乳房温存術

[←先頭へ]


粘液がん (ねんえきがん:mucinous carcinoma)

 浸潤がんの中でも比較的まれで、特殊型に分類されています。粘液(べとべとした液体)を作る性質を持つがんです。多くのがんのしこりは、がん細胞が詰まっていますが、このがんは、しこりの大部分が粘液で、がん細胞は粘液の中に浮いたように存在します。したがって、タチの良いがんと言われ、転移を起こすことは割と少ないと言われます。全乳がんのおよそ4パーセントをしめています。

[←先頭へ]


脳転移 (のうてんい)

 がん細胞が脳に転移することです。頭痛、吐き気、嘔吐、ふらつき、感覚の変化、体の一部が動かしにくい、行動や精神面での変化、けいれんなど転移した部位により異なる症状が現れます。診断は、CT、MRI、神経学的検査などで行なわれます。
 治療は放射線治療が主で、全脳照射のほか、ガンマナイフなど腫瘍巣を集中的に照射する治療があります。手術を行うこともあります。薬剤としては、転移性脳腫瘍の多くは周囲の腫れ(脳浮腫)を伴うため、脳浮腫に有効なステロイドホルモンが選択されます。

転移遠隔転移ガンマナイフサイバーナイフ全脳照射

[←先頭へ]

声を聴き合う患者たち&ネットワーク「VOL-Net」

Wordsworth - Version2.6.0 (C)1999-2002 濱地 弘樹(HAMACHI Hiroki)