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ガンマナイフ (Gamma Knife )
放射線療法のひとつです。乳がんの場合は、脳転移(転移性脳腫瘍)に用いられる治療です。手術ではなく、ガンマ線で腫瘍をナイフで切り取るように治療することから名づけられました。201個のコバルト線源がヘルメットの中心で1点に集るよう設計された装置を頭蓋骨に固定して治療します。虫眼鏡に太陽の光を集めて黒い紙を焼くのと同じ原理です。1本1本の放射線のビームの力は弱いので、頭を貫通してくる時に病変部以外に与える影響を小さくできます。全脳照射など通常の放射線治療に比べ、治療期間が短くてすむ(1回の照射で終了)メリットがあります。3p以下の病変部に適しています。治療手順としては、まず4本のピンでヘルメットを固定するフレームを装着し、次に病変部の広がりを把握するためX線検査をします。そして、照射範囲・量を決め、頭部をヘルメットに固定し、照射します。
クラス (class)
がんの広がりや進行度を表すステージと混同されやすいのですが、クラス分類は細胞の顔つきの異型(正常からのへだたり)を正常の細胞からがん細胞まで5段階に分けた分類のことです。クラスT・Uは、良性で、クラスXが、がん細胞ということになります。
・クラスI 異型細胞のないもの
・クラスII 異型細胞は存在するが、悪性ではないもの
・クラスIII 疑わしい細胞が存在するが、悪性と断定できない
・クラスIV 悪性細胞の可能性が強い
・クラスV 確実に悪性であるもの
くりぬき手術 (くりぬきしゅじゅつ)
腫瘤摘出術のことで、正常な乳腺は殆ど切除せず、しこりのみを切り取る手術法です。良性の腫瘍の場合や、腫瘍の組織学的診断(生検)の目的で行われる術式です。
[←先頭へ]グレード
がん細胞の核や組織の異型度(正常からのへだたり具合)を示す分類です。乳がんとしてのたちの悪さ(転移・再発のしやすさ)を言い表し、細胞診の結果をグループ分けしたものです。グレード分類は1から3の3段階に分類されていて、大きな数字ほど悪性度が高い=正常な組織や細胞とのへだたりが大きいということになります。
・グレード1:正常からのへだたりが小さい、おとなしいがん細胞 (悪性度が低い)
・グレード2:中間
・グレード3:正常からのへだたりが大きいがん細胞 ( 悪性度が高い)
グレイ (Gy)
放射線の量を現す単位のひとつで、吸収線量の単位です。人体にどれだけ吸収されたか、単位質量あたりに吸収されたエネルギーの量をグレイ(Gy)であらわします。
→線量
[←先頭へ]コバルト照射 (こばるとしょうしゃ)
放射線療法のひとつです。コバルト60という放射線同位元素から出るガンマ(γ)線を、50〜80cmの距離から照射し、がん細胞を死滅させようとする放射線療法です。コバルト60のガンマ線はエネルギーが低いため、皮膚表面に近い病変の治療に適しています。乳房、及び胸壁の照射には、コバルト60のガンマ線、または4MV(メガボルト)程度のエネルギーのX線がよく用いられます。 近年、リニアック治療装置の普及により、コバルト遠隔治療装置(テレコバルト)の数は減少傾向にあります。
[←先頭へ]コヒーシブシリコン (cohesive silicone)
乳房再建に用いられる人工乳腺(インプラント)のひとつです。粘着力のあるコヒーシブジェルが入っており、形は半円形のラウンドタイプと、釣鐘型のアナトミカルタイプの2種類があります。コヒーシブジェルは最近良く使われるようになりました。粘着力があるため破れても漏れ出しにくいといわれています(まったく漏れないわけではありません)。コヒーシブシリコンのさわり心地はソフトシリコンよりもやや硬いです。
[←先頭へ]コメドがん(面ぽうがん) (こめどがん(めんぽうがん))
非浸潤性乳管がんの一種で、中心部が壊死するのが特徴です。石灰化を伴うことが多いです。乳管に沿って広がる傾向があって、温存手術を行った場合には取り残しがないか注意する必要があります。コメドがんが浸潤がんになった場合には、乳頭腺管がんになります。
→非浸潤がん、 浸潤がん、 乳頭腺管がん、 非浸潤性乳管がん
[←先頭へ]化学療法 (かがくりょうほう)
症状によって術前術後や、転移再発した場合に行われる抗がん剤による治療で、全身療法の一つです。抗がん剤を投与してがん細胞にダメージを与えることでがんを死滅させる療法ですが、正常な細胞にもダメージを与えてしまうためさまざまな副作用が現れます。薬には内服薬と注射薬(点滴など)の2種類があり、症状によって単独で薬を用いたり、いくつかの種類の薬を組み合わせて用いたりします。
補助療法で行う場合は、主としてリンパ節に転移がある場合や、内分泌療法(ホルモン療法)に効果が認められない場合、再発する可能性が高い場合などに行われます。
→AC、 AT、 CAF、 CEF、 CMF、 抗がん剤、 動注療法、 制吐剤、 骨髄抑制、 脱毛
[←先頭へ]家族性乳がん (かぞくせいにゅうがん:familial breast cancer)
ある家系では乳がん患者がたくさん出るということで、家族歴や血縁者のがんの発生率の調査が何回か行われました。日本では親、兄弟、子どものうち3名以上の乳がん発症家系または2名以上でそのうちのいずれかが40歳未満で乳がんになった場合、同時性・異時性両側乳がんになった場合、および、同時性、異時性多臓器重複がんになった場合のいずれかに当てはまる場合を家族性と定義しています。家族性乳がんは若年発症、両側乳がん、多臓器重複がんの頻度が高い、とされています。
[←先頭へ]核異型度 (かくいけいど)
細胞は核と細胞質によってできていて、核の中には遺伝情報であるDNAが入っています。正常な細胞では、細胞が分裂する時にDNAが複製されてコピーを作り、2つに分かれて核分裂が起こり、細胞が分裂していきますので、核が異常に大きくなることはありません。しかし、がん細胞の核は正常な細胞より大きく、形が不整になり、粗大化したり不均等になるという特徴があり、正常細胞の核とどれだけ異なるかによって、そのがん細胞の悪性度を判断することができます。一般に、正常な細胞に比べて核が大きく、中身が詰まっていて顕微鏡で核が濃く見えます。形の変形が強いものほど悪性度が高くなります。がん細胞の顔つきなどとも言われます。
[←先頭へ]核分裂像 (かくぶんれつぞう)
細胞は分裂によって増殖するので、がんの組織の中に核分裂をしている状態の細胞が多く見られるほど、細胞分裂の速度が速い、つまりがん細胞の増殖が速い(=悪性度が高い)ということになります。そのため、顕微鏡で見たある一定の範囲の中に、核分裂をしている状態の細胞がどのくらいあるか(核分裂像の数)が、がんの悪性度を測る指標の一つとなります。厳密に言えば、細胞分裂は核分裂と細胞質分裂の2過程からなりますが、細胞分裂像もほぼ同じことを意味します。
[←先頭へ]寛解 (かんかい)
治療前にあった病変が見かけ上なくなった状態のことを言います。乳がんの治療効果判定などでは、すべての腫瘍が消失した状態が4週間以上続くことを完全寛解(complete response・CR)と言いますが、完全寛解=(イコール)がんが治ったことではありません。もちろん完全寛解が長く続けば治癒につながりますが、一時的であることが多いです。最近では、完全寛解とは訳さず、完全奏効と訳されるようになってきています。
→奏効率
[←先頭へ]管腔形成 (かんくうけいせい)
細胞が集まってパイプや風船のように中が空洞の状態になることを管腔形成といい、細胞や組織の状態の特徴を表す表現で使用されます。乳頭腺管がんの組織の特徴として、乳頭状増殖および管腔形成があり、病理検査の結果などに「管腔形成がみられる」というコメントが書かれることがあります。管腔形成がされているほど、悪性度が低いと判断されます。
[←先頭へ]緩和ケア (かんわけあ:palliative care)
痛みなどの身体的苦痛のコントロールに加えて、精神的、社会的、宗教的側面をも考慮した総合的な医療のことです。終末期だけではなく、それ以前の早い病期の患者に対してもがん病変の治療と同時に行われることもあります。患者自身とその家族ができる限り良好なQOLを実現できるよう、さまざまな専門化チームによってケアが行われます。積極的治療による副作用などの不快な症状を和らげることも緩和ケアです。
→ホスピス、 ターミナル、 支持的治療(支持療法)
[←先頭へ]肝臓転移 (かんぞうてんい)
がん細胞が、肝臓に転移することです。多くは自覚症状はありません。しかし転移が進行し、肝臓が肥大すると周りの組織を圧迫するために、腹部に痛みが出ることもあります。また、胆汁の通り道である胆道を圧迫すると黄疸が出ることもあります。診断は、腹部エコー、CTなどで行なわれます。治療は、全身薬物療法として、化学療法やホルモン療法が一般的です。また、動注療法といって、肝臓に行く動脈にカテーテルを入れて直接抗がん剤を送り込む治療を行なうこともあります。
胸郭 (きょうかく)
胸を囲む骨全体で囲まれるスペースを胸郭と呼びます。胸椎12個、肋骨12対、胸骨1個によって作られています。肺や心臓などの胸部の内臓を支え、保護するとともに、呼吸運動にも関わっています。
[←先頭へ]胸筋温存乳房切除術 (きょうきんおんぞんにゅうぼうせつじょじゅつ)
乳房を全部切除する手術法のうち、最も標準的な術式です。非定型乳房切除術とも呼ばれます。乳房とリンパ節、胸筋上の組織を切除します。このうち、大胸筋と小胸筋を温存して腋窩リンパ節の郭清を行うものを「オーチンクロス法」といいます。また、大胸筋と小胸筋は温存しつつリンパ節の郭清を広く行う「児玉法」、大胸筋は温存するが小胸筋を切除し、腋窩・鎖骨下のリンパ節の郭清を広く行う「パティ(ペイティ)法」などがあります。
→小胸筋、 大胸筋、 非定型乳房切除術、 胸筋合併乳房切除術
[←先頭へ]胸筋合併乳房切除術 (きょうきんがっぺいにゅうぼうせつじょじゅつ)
乳房全部と大胸筋、小胸筋、及び付近のリンパ節(腋窩リンパ節と鎖骨下リンパ節)をすべて切除する手術法です。この方法を開発したハルステッドという外科医の名前を取ってハルステッド法とも呼ばれ、半世紀以上に渡って標準術式として世界中で行われていました。しかしながら、このように広範囲に切除しても必ずしも治療成績が向上しないことが判明し、現在では、乳がんが進行して胸筋にまで浸潤している場合などを除いて、殆ど行われなくなっています。
[←先頭へ]胸骨 (きょうこつ)
胸の前側の真中にある、縦長の扁平な骨のことです。肋骨のうち上から7本目までが、この骨につながっています。
[←先頭へ]局所再発 (きょくしょさいはつ)
乳がんの場合の局所再発とは、乳房温存術後の乳房内に再発したもの、乳房切除後の胸壁に再発したもの、健側の乳房内に再発したもの、乳房の周囲のリンパ節に再発したものなどをいいます。
乳房温存術後の乳房内局所再発を予防するために術後補助療法として放射線療法を行います。それでも、年間1%、5年間で5〜10%程度は乳房内再発が起こると考えられています。しかし、乳房内再発の場合は、再切除可能な場合が多く生存率には影響しないと考えられています。
形成外科 (けいせいげか)
外科系の診療科の一つで、主として機能回復とQOLの向上を目的とする専門外科です。組織の異常、変形や欠損などの疾患を治療対象とする「再建外科」と、疾患とは言えないが、自分がとても気にしている微妙な形を治療対象とする「美容外科」の二分野に大別されます。再建外科は「生まれつきの、またはけがやがんなどで変形したり失われた体の表面や骨の異常」を、機能の回復だけでなく、形も正常に近い状態に再建することで、QOLの向上を図ろうとするものです。特定の臓器に限らず、全身のあらゆる部位の異常や形態の変化が治療対象であるという特徴があります。乳がんの場合は、乳房再建術を形成外科が担当します。
→乳房再建
[←先頭へ]血管内治療 (けっかんないちりょう:IVR:Interventional Radiology)
がん細胞は、自分の栄養補給のために動脈につながる血管を新たに生じさせることがあります。この栄養補給路(新生血管と呼びます)を閉じることにより、がん細胞を衰えさせる治療方法のことです。具体的には、局部麻酔を施し、足の付け根から血管に細い管を挿入して病巣部に薬などを注入します。副作用が少なく、外来治療も可能です。転移したがんやリウマチに対し有効な治療法といわれています。ただし、血管内治療を行える施設は少なく、自費診療扱いのため治療代は高くなっています。また、生存率の向上に結びついているかどうかも、まだわかっていません。施設によっては、動注療法のことを血管内治療と呼ぶ場合もあるようです。
→動注療法
[←先頭へ]血管内侵襲 (けっかんないしんしゅう)
切除したがん組織の中に含まれる血管の中にがん細胞が入り込んでいることを、血管内侵襲または静脈侵襲といい、がんが周囲組織のどこまで広がっているかを測る指標のひとつです。病理診断の結果では、「v」がプラスかマイナスか、あるいは0〜3の数値で表されます。がん細胞は、その周囲に広がっていくだけでなく、リンパ液や血液に乗って全身に転移する可能性があるわけですが、血管内侵襲の有無によって、遠隔転移の可能性を予測する判断材料の一つとなります。ただし、血管内侵襲があるからといって、必ずしも遠隔転移しているわけではありません。
[←先頭へ]広背筋皮弁法 (こうはいきんひべんほう)
乳房を再建する際、自分の背中の筋肉の一部を使って乳房の膨らみを形成する方法です。広背筋は、背中の下半分を覆う広く平らな筋肉です。その一部を皮膚や脂肪と一緒に切り離し、脇の下の血管はつないだまま、皮膚の下をトンネル状にくぐらせて胸に移植します。大部分が筋肉のためやや固い感じになり、時間が経つにつれ若干縮小しますが、血行が安定しているという利点があります。形成する乳房の大きさにより、腰の近くの脂肪も使う拡大広背筋皮弁という方法もありますが、この方法は採取した後の背中の変形は相当大きなものになります。広背筋を切除することによる日常生活への影響はあまりありませんが、健康な部位に傷をつけるという欠点があること、通常の人は広背筋皮弁だけでは乳房のボリュームが足りず、人工乳房を併用する必要があるなどの欠点があります。
[←先頭へ]抗エストロゲン剤 (こうえすとろげんざい)
ホルモン療法では、もっとも標準的でよく使われる薬です。エストロゲンレセプター(ER)が陽性の乳がんの場合、第一選択(最初に処方される薬)として使われることが多いです。エストロゲンが乳がん細胞の表面にあるレセプター(ER)に結合すると乳がん細胞が増殖しますが、抗エストロゲン剤は先回りしてERに結合してしまい、エストロゲンが結合できないようにしてしまいます。そうなるとがん細胞の遺伝子が働かなくなって増殖が抑えられます。抗エストロゲン剤は、閉経状況を問わずに効果がありますが、閉経後のほうがより効果が大きいといわれています。大きく分けると2種類あり、タモキシフェン(商品名は「ノルバデックス」など)、トレミフェン(商品名は「フェアストン」)です。タモキシフェンは閉経前、閉経後いずれにも処方され、トレミフェンは閉経後のみ処方されます。飲み薬で1日1〜2回毎日服用します。服用期間は手術後2年〜5年(最近では5年が主流になりつつあります)程度が多いですが、患者さんによって異なります。副作用は比較的軽く、無月経、月経異常、ほてり、吐き気、肝機能異常、若干の体重増加などがみられることがあります。また、タモキシフェンでは1000人中1〜2人の割合で子宮体がんが発生するリスクがあることが知られています。
→エストロゲン、 ホルモン療法(内分泌療法)、 内分泌療法、 タモキシフェン
[←先頭へ]抗がん剤 (こうがんざい)
化学療法で用いられる薬のことです。種類は多数あり、内服薬・注射薬(点滴など)があります。通常2種類以上の薬剤を併用して投与する方法(多剤併用療法)が行われることが多いです。抗がん剤はがん細胞を死滅させる効果がありますが、同時に正常な細胞も攻撃してしまうため、さまざまな副作用が起きます。副作用には、吐き気、脱毛、口内炎、白血球減少、貧血、血小板減少、爪の変形・着色、生理不順、肝臓・腎臓の機能障害などがあります。抗がん剤はこのような副作用が起こることが避けられないため、事前に医師から詳しい説明を受けることが大切です。しかし吐き気や白血球減少などの副作用を軽減させるための薬も多数開発されています。また、副作用の多くは、投与が終了または中止することで回復に向かいます。
→AC、 AT、 CAF、 CEF、 CMF、 化学療法、 制吐剤、 骨髄抑制、 脱毛
[←先頭へ]更年期障害 (こうねんきしょうがい)
一般には、女性の閉経前後の時期を更年期と呼び、この時期に起こる様々な不調を更年期障害と呼びます。更年期障害には、ほてり、のぼせ、頭痛、肩こり、不眠、いらいらなどの症状があります。更年期障害は女性ホルモン(エストロゲン)の分泌の変化によって引き起こされます。乳がんの治療でホルモン療法を行った場合は、体内の女性ホルモン環境が変ったり、自律神経の働きに異常をきたして、更年期の時期でなくても更年期障害に似た症状が出やすくなります。
[←先頭へ]硬がん (こうがん:scirrhous carcinoma)
乳がんの種類のひとつです。全乳がんの40%が硬がんとされています。硬がんは血流やリンパ流に乗って他の部位に転移するのが、他のがんより比較的早いとされています。組織の特徴は腫瘍細胞成分が少なく、コラーゲン成分が多いとされています。マンモグラフィや超音波検査で硬がんと推定出来る場合もあり、又細胞診で判明することもあります。乳がんにおいては硬がんであるかどうかより、リンパ節に転移があるかどうかの方が生存率に大きく影響するという専門家もいます。
[←先頭へ]硬膜外麻酔 (こうまくがいますい)
局所麻酔のひとつです。脊髄を守り、覆っているのが硬膜で、脊髄が必要以上に動いてしまわないようにするクッションの役割をするのが、硬膜外腔です。この2〜5mmの空間に局所麻酔薬等を注入して、脊髄神経を一時的に遮断するのが、硬膜外麻酔です。硬膜外腔には、脂肪がつまっているので、スポンジに水をすい込ませるように薬を使用し、狙った部分にだけ麻酔をかけることができます。手術の際には全身麻酔と併用することが多いです。極細い管を硬膜外腔に留置し鎮痛薬を持続的に投与することで、術後の痛みを軽減させることができます。
→部分麻酔
[←先頭へ]高分化 (こうぶんか)
腫瘍細胞がその発生した組織や器官の正常細胞に近ければ近いほど分化した腫瘍といいます。高分化がんとは、発生した組織の細胞(乳がんの場合は正常な乳腺組織の細胞)にきわめて類似しているものをいいます。高分化型のがんはもっともおとなしいタイプのがんに属します。
予後については、高分化型が低分化型より良好のことが多いといわれています。通常、がん組織では1種類の型のみがみられることはまれでそれぞれの型が混在しており、どの型がいちばん多く観察されるかでがんの悪性度が判定されます
骨シンチ (こつしんち)
骨シンチとは放射性医薬品を使う骨の核医学検査です。がんが骨に転移していないかを調べます。この検査に用いられる薬は放射線をだすラジオアイソトープ(RI)が含まれていて骨の代謝や反応が盛んな所に集まります。そのため、骨の腫瘍や骨の炎症、骨折の診断ができます。乳がんでは、骨転移が疑われる時や、骨転移の治療の経過を見るときに行います。
検査方法は、まず注射をし、約3時間ほどして骨に充分くすりが集まった頃に画像をとります。仰向けに寝て、20〜40分で終わります。きれいな画像をとるために、検査前にトイレに行き膀胱を空っぽにして、検査中は動かないようにします。
→骨転移
[←先頭へ]骨髄移植 (こつずいいしょく:marrow transplantation)
造血幹細胞移植の一種。造血幹細胞を骨髄から取るものです。
[←先頭へ]骨髄抑制 (こつずいよくせい)
血液中の細胞には白血球、赤血球、血小板があり、骨の中心部分にある骨髄で造られます。 抗がん剤は細胞分裂が活発な組織に作用するため、細胞分裂が活発な組織である骨髄にも影響して血液を造る働きが低下し、白血球、赤血球、血小板ともに減少します。特に減少しやすいのは白血球です。これを骨髄抑制といいます。
白血球が減ると、細菌感染を引き起こしやすくなります。また、血小板が減ると出血しやすくなり、赤血球が減ると貧血になりやすいので、必ず血液検査をしながら化学療法を行います。副作用による弊害ができるだけ少なくなるように、人ごみでの感染を避けるなど生活面でさまざまな工夫をしたり、熱が出たときは感染予防のために抗生物質を、白血球の数がなかなか元にもどらないときは白血球を増やす薬(G−CSFなど)を投与したりします。
抗がん剤によって骨髄の機能が低下しても、投与が終われば血液は再び元の状態に戻ります。
骨転移 (こつてんい)
がん細胞が骨に転移することです。乳がんの遠隔転移では骨転移が最も多くみられます。症状の多くは痛みです。脊椎の転移が進行すると、痺れや麻痺が起きることもあります。麻痺はすぐに対処しないともどらなくなることがあるため、早期発見・早期治療(通常48時間以内)が必要となります。診断は、骨シンチ、単純X線、CT、MRIで行なわれます。骨シンチでは、全身の転移が一度に分かり、早期発見が可能とされていますが、擬陽性となることもあり、確定診断のためには、X線、CT、MRIが必要な場合があります。治療は、全身薬物療法として、ホルモン療法や化学療法、ビスフォスフォネートによる治療があり、局所に対しては、放射線による治療があります。放射線による治療は、多くの痛みの緩和に効果があります。まれに、病的骨折の心配がある場合など、金属プレートで固定するような手術が行なわれることもあります。
潰瘍 (かいよう)
潰瘍といえば胃潰瘍を連想しますが、乳がんの場合、がんの進行が進むと、乳房表面の皮膚が赤くなり腫れてきて、最後には皮膚が崩れてしまうことがあります。がんが皮膚の下から顔を出してしまい、悪臭のある汁がじくじく出たり出血を起こしたりします。この状態を潰瘍といいます。潰瘍を作るのは良性の腫瘍の場合もありますが、乳がんの場合は潰瘍になる前に皮膚がひきつれたり、えくぼのようにへこんだ状態になることが多いようです。
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